2016年9月28日水曜日

末永く、介護環境の充実を。~決算審査特別委員会、健康福祉分科会で質問。

川崎市議会9月定例会の決算審査特別委員会、健康福祉分科会で昨日、質問をしました。
私は、今年度は健康福祉委員会に所属しておりますので、分科会ではもっぱら本分野を担当させていただいております。健康福祉委員会では、健康福祉局、消防局、病院局の案件を審議します。

わかりやすくまとめるとこのような感じでしょうか。
まず、国の意向を推察したところこのような感じだと思います。

「国の介護費用は年々上昇してお金がありません。今までは介護サービスを利用する人が増えれば増える分、国がお金を出していましたが、厳しい。平成30年度からは決まった額しか出しませんよ。介護予防の『訪問』と『通所』に関しては、増えるサービスの分は平成30年度からはもっぱら市町村がより多くお金を出して独自にやってくださいね(総合事業への移行)。国は本音を言えば平成28年から独自にやってほしいけど、それだとあんまりなので平成29年までは金額は減らすけれども、高齢者の伸び率に応じて金額の上乗せをするからがんばってね」と。

そして、川崎市の考えはこのような感じだろうと思います。

「まいったな。今はまだ高齢化率はさほど高くないけど、これから先はどんどん上がっていくから大変だ。川崎市もお金があるようでない。むしろ子育てにまわさないといけないと市長は考えている。高齢者福祉に十分はお金はない。どうしよう。そうだ!出ていくお金を減らそう。介護予防サービスでは、金額は『月いくらいくら』としてたが、平成28年度からは『ひと月に使ったサービスの回数』で金額を出そう。ひと月5週として設定すれば5週目はほとあんどなく、大方の利用者が月4回利用になるだろうから市としての支出は抑えられるな。事業者にとっては収入減になるけど、利用者にとっては負担が減るから市民理解は得られるはず。、、、越後屋、お主も悪よのぅ」

そこに末永、突っ込みました。

「ちょっと待った!今、事業者は収入が下がって経営難に陥っています。倒産が相次いで事業者がいなくなったらどうやって高齢者福祉を支えていくんですか。国も市もお金がないのはわかるけどあんまりじゃないですか。事業者も利用者もともにウィンウィンになるような形でゆるやかに総合事業に移行していくべきですよ。どっちかに対する切り捨てじゃなくて、大岡越前裁きみたいなお互いが納得できる知恵を出してください」と。

今回の質問の肝は、健康福祉局長の答弁でした。
「今後の安定的な事業の運営と要支援者のさらなる支援の充実に向け、来年度の『第7期計画いきいき長寿プラン』策定の中で、引き続き検討を進めてまいりたい」

問題を問題として局長に受け止めていただいたことと、救済策を「いきいき長寿プラン」策定において盛り込む検討を表明していただいたことが、成果でした。

以下、質問答弁の内容を参考までに記載いたします。長くて若干難しいですが、よかったらご覧ください。

                            記

末永) それでは、私は通告に従いまして、一問一答式で行います。
平成27年度 介護保険事業特別会計、2款1項1目、介護サービス費について担当課長に伺います。本費用は総額747億9185万7479円となっており、そのうち居宅介護サービス費等負担金は373億6701万2579円、居宅介護支援サービス費等負担金は39億4015万9463円となっております。これらの財源は、国・県が35.2%、市が12.5%、65歳以上の第1号被保険者の保険料が24.3%、40~64歳の第2号被保険者の保険料が28.0%と定められていますが、介護予防・日常生活支援総合事業関連給付費の本市の支出額はそれぞれいくらになりますか。

担当課長) 介護予防・日常生活支援総合事業関連給付費についての御質問でございますが、
 平成27年度決算におきまして、居宅介護サービス費等負担金のうち、介護予防訪問介護サービス費負担金は、8億9541万1157円、介護予防訪問介護サービス費負担金は14億2940万2872円となっております。
 また、居宅介護支援サービス費等負担金のうち、介護予防支援サービス費負担金は4億8961万9923円であり、合計28億1443万3952円でございます。

末永) 総合事業では市町村の裁量でサービスの内容を決めることができますが、どのようなサービスを行うのか、また給付の抑制をどのように考えるのか、伺います。

担当課長) 介護予防・日常生活支援総合事業についての御質問でございますが、
 はじめに、平成27年度の介護保険制度の改正におきましては、全国一律の基準にもとづく保険給付としてサービス提供されていました「介護予防訪問介護」、「介護予防通所介護」につきまして、市町村が地域の実情に応じて実施する地域支援事業へ移行されました。
 こうしたなか、総合事業実施にあたりましては、これまでのサービス内容に加え、多様な担い手の参画によって要支援者を支える取組として、サービス提供者の資格要件等を緩和した独自の基準による「新たなサービス」の構築を行ったところでございます。
 次に、総合事業の事業費につきましては、移行前の当該市町村の給付費等の費用実績に対して、75歳以上高齢者の伸び率を乗じた費用の範囲内とするなど、国において事業費の上限が設定されたところでございます。
 本市におきましては、今後の高齢化の急速な進展と高齢者の多様なニーズに対応した効果的・効率的なケアの推進を図るため、事業開始に伴い、これまでサービス量に関わらず月単位で低額であった月額報酬から、訪問型サービスについては「1週あたりの報酬」、通所型サービスについては「1回あたりの報酬」設定を行い、利用時間や利用回数が少ない方の利用負担に配慮した、きめこまやかなサービス提供を可能としたところでございます。
 今年度におきましては総合事業への移行期間中でございまして、平成28年4月以降に順次、認定更新を迎える要支援者等から総合事業によるサービスの利用が開始されております。
 今後も引き続き、独自の基準によるサービスの利用状況や事業者の参入状況等を的確に把握しながら、要支援者の円滑な移行に努めてまいりたいと存じます。
 
末永) 総合事業への移行ということですが、その結果様々な歪みが生じています。
 私が住んでいる中原区は横浜市港北区と隣接しております。聞いた話ですが、非常に驚いたことがあります。要支援1に認定されている方が港北区にある事業所の介護予防通所サービスを受けようとしたところ何らかの理由をつけて断られたとのことでした。昨年までは可能でした。実際のところ、「川崎市民を受け入れると報酬単位が低く、割に合わない」というのが本音だそうです。
 なるほど。そのあたりの実態は果たしてどうなのか。本市内の事業所に聞き取り調査を行いました。
介護予防通所サービスを行っているある事業所では、例えば要支援1の方のサービスにおいて、
平成26年度はひと月2,115単位、地域加算10.54円で2万2,292円。
平成27年度は国が報酬単位を減らしたため、ひと月1,647単位、地域加算10.72円で1万7,655円。
平成28年度は月5回利用し、送迎入浴ありで 月1,647単位、1万7655円。これは平成27年度と同額です。
しかし、月4回送迎入浴あり、では1回329単位×4回で1,316単位、1万4,107円にまで下がります。
平成26年度と比較すると約37パーセントも収入が減ります。なぜか。
つまり「算定回数」に原因があります。昨年度までは月いくらいくらと月毎の算定でした。
しかし、本年度からは「1回毎の算定 」、「月5回」と枠組みの変更がありました。
 一方、他都市はどうか。横浜市、世田谷区、大田区、稲城市などは、ひとしく月1647単位で月毎の算定です。
本年度の月毎の5週目、1月は1/1~3の3日間、2月は29日の1日のみ、3月は3日間、4月は2日間、5月は3日間、6月は2日間、7月は3日間、8月は3日間、9月は2日間、10月は3日間、11月は2日間、12月は3日間。一般の常識からするとひと月4週計算です。
 計画はケアマネージャーが例えばこの人は水曜、といった具合に固定した週を決めて実行されます。すなわち5週目がない場合がほとんどで、これまで月単位で介護報酬を受けていた事業所にとって、これら算定の枠組みは実質的には収入減です。なぜこのような仕組みにしたのか見解を伺います。

担当課長) 総合事業の報酬についての御質問でございますが、
 本市におきましては、介護予防・日常生活支援総合事業の実施にあたり、様々な事業所を対象に意見交換等(※訪問、ヒアリング、説明会、意見FAX、アンケート)を行い、事業の構築を図ってきたところでございまして、「これまでの月額報酬では不公平感がある」といった御意見をいただいたほか、利用者にとっては、月の利用時間や利用回数に見合った自己負担で済むというメリットがあることや、国が事業費の上限を設定していることなどを総合的に判断し、これまでの月額報酬から、訪問型サービスについては「1週あたりの報酬」、通所デイサービスについては「1回あたりの報酬」の報酬設定を行ったものでございます。
 事業開始後の要支援者の方のサービス利用状況につきましては、毎月の利用実績の動向を注視しているところでございまして、引き続き、総合事業開始前の状況を踏まえながら、安定的な事業運営と事業の充実に向けた検討を進めて参りたいと存じます。

④最後の質問ですが、膨大な介護需要の一方で平成37年には介護職員が約38万人不足するとの厚労省の推計も出ています介護事業所は経営が極めて厳しい状況に陥っています。「今いる利用者を切れない」「新たな利用者を受け入れられない」とのことです。 今まで行ってきたサービスは同じにもかかわらず、介護報酬減により収入が低くなれば、事業主は従業員の給料を上げたくても上げられず、従業員の新規雇用もできません。負債を抱え倒産してしまえば市内中小企業の倒産率が上昇し、景気にも影響しかねません。 本市では、市民が一生安心して住み慣れた地域で生活できるようにする地域包括ケアシステムを提唱していますが、介護事業所は今後これを支えていけるのでしょうか。総合事業についての今後の取組を健康福祉局長に伺います。

健康福祉局長) 介護予防・日常生活支援総合事業についての御質問でございますが、
 先般の介護保険法の改正による新たな総合事業の実施につきましては、現在の利用者の円滑な移行と、要支援者への将来的にわたる担い手の確保が重要であると認識しているところでございます。
 本市におきましては、誰もが住み慣れた地域で暮らし続けることができる地域の実現を目指すため、個人や家族、地域社会、公的部門などによる「自助」「互助」「共助」「公助」の役割分担のもと「地域包括ケアシステム」の取組みの推進を図っているところでございますが、総合事業につきましても、介護保険制度による「共助」を支える取組みのひとつとして、今後の安定的な事業の運営と要支援者のさらなる支援の充実に向け、来年度の「第7期計画いきいき長寿プラン」(※3年に1度)策定の中で、引き続き検討を進めてまいりたいと存じます。



末永) ありがとうございます。只今、局長に「利用者の円滑な移行」と「担い手の確保」が重要、とご答弁いただきました。以上、私が申し上げた事業者の現状を受け止めていただけたかと存じます。一方で、大局を観ますと、高齢化で国の社会保障費が増大し、本年度の国の介護費用は約10.4兆円にものぼり、団塊の世代が全員75歳以上になる平成37年には年間約20兆円を超えると言われています。本市では現在、75歳以上の伸び率は他都市と比べて高いものだとは言えませんが、団塊の世代が75歳以上になり、生産年齢人口の低下とともに一層多額の費用がかかるものだと推察します。それにともなって介護保険料も上がりかねません。これらをふまえると総合事業への移行は致し方ないのかもしれませんが、移行期間においてハレーションをいかに最小限にするか、まずは受け皿をしっかりとつくったうえで移行すべきではないですか。来年度の「第7期計画いきいき長寿プラン」策定の中で今後の支援の充実について検討される旨の局長答弁もございましたが、本年度のサービス利用実績を総括し、市民に結果をお示しいただいた上で、事業者と利用者、両者がともにウィンウィンになるような受け皿づくりに向けた何らかの緩和策、救いの手立てを講じていただきますよう要望して私の質問を終わります。(了)


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